交通心理学とは？

自動車や自転車による人の交通行動に関連して生じる諸問題を心理学の見地から体系的に分析研究し、運転や歩行の安全性、効率性および快適性の向上を図ることを目的とする心理学の一分野です。人の交通行動は道路、鉄道、空路および海路において行われますので、道路などにおける赤行、自転車・自動車の運転、鉄道における電車などの運転、空路における航空機の操縦および海路における船舶の操船などが研究の対象となります。それぞれの行動では操縦・操作のための各種機器を使用しますが、その際ヒューマンエラー（人が犯す間違い）が生じ、事故を発生させることがあります。そのため、その未然防止に努め研究が重要視されています。 車の運転では前方をはじめとする自分の周りの環境を正確に知覚することが重要です。 従ってドライバーがなぜ見落としや見間違いをするのかについての研究や、居眠りなどをしないで目が覚めた、すっきりした状態で運転するためにはどうすればよいか、飲酒運転はなぜなくならないのか、どうすれば交通事故をなくすことができるかなどについての研究が行われています。

研究テーマには、運転時の人間の情報処理と行動特性の研究、交通事故と運転者適性の関連性の解明、交通行動の文化的背景の研究、運転技能訓練や交通安全教育の手法の研究などが含まれます。そしてその研究成果は輸送機械の設計や交通システムの改善に役立てられています。

日本においては、近年、交通事故死者数こそ減少傾向にあるものの、交通事故件数自体は減っていません。また社会全体の高齢化に伴い、高齢者が交通事故の被害者になるばかりでなく、加害者となるケースが増加しています。このような状況下で、交通心理学の果たすべき役割はますます大きくなっています。以上